ド理系オタクが推しの大河主演に向けて生まれて初めて歴史小説を読んだ話

2021年1月19日。

仕事を終えてスマホを開いたらとんでもないニュースが飛び込んできた。

 

 

[速報:2023年大河ドラマ]

タイトル:「どうする家康」

主演:徳川家康 役 松本潤

 

 

「はっ!!!!!?????」

 

 

大河ってあの大河?N〇Kのやつ?え、時代劇だよね?

震えが止まらずスマホを床に落とす。グループが休止に入ってから、なかなか見る機会がなくなってしまった推しの大仕事が決まった。ヤバい。普通にヤバい。

 

嬉しすぎて涙が止まらなくて、慌ててトイレに駆け込む(まだ職場)。

涙で視界がぼやけてるけど、とりあえず公式ホームページで確認。夢じゃない。

ヤバすぎる。

もともと大したもの持ってないけど、私の語彙力はどこかにいってしまった。

 

 

なんとか家に帰ってもう一度公式の発表を見る。

推しはどうやら徳川家康を演じるらしい。家康ってたしか天下統一した人だよな、まぁ推しはあの顔面とそれに劣らぬ内面の良さですでに天下とってるから納得だわ (オタクの妄言)(歴史好きの方すみません)

 

取り急ぎ情報を集める

・公式のガイドブックとか出る

・ステラは定期購読すべし

大河ドラマ館ができる

・撮影は来年の夏から

・大河の円盤は◯万円するらしい

                                                   etc……

 

追いかけるのめっちゃお金かかりそうだけど、すんごく楽しそう!!!!!2023年まで生きねば!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……でもよく考えたら。

私、徳川家康のこと何も知らなくね?

 

 

 

推しが演じる人物のことを知らずに1年大河を見続けるとか有り得ない。勿体なさすぎる。しかも推しの性格上、絶対勉強してから撮影に入るはず。

何のための2年間か?家康を知るための2年間だろ(決めつけ)。これは勉強するしかない。

ということで、家康について学ぶことにしたのです。

 

 

ここで私の基本情報を書いておきます。

・ド理系。大学時代はDNAの研究してた。

・活字は好き。読むのはミステリがほとんど(論理的だから)。歴史小説は今まで読んだことがない。

・高校の選択授業では理系なのになぜか日本史をとっていた。でももうほとんど覚えてない。家康は江戸幕府を作った人(知識が乏しい)。

・放送まで2年あるとはいえ、仕事もしているし、勉強に費やせる時間はそこまで多くない

 

手っ取り早く勉強するならやっぱり書籍だよな~とは思ったものの、歴史小説ってなんとなく堅苦しい感じがするし、普段読んでいるミステリとはあまりにも畑が違いすぎて、どうやって選んだら良いのかも分からず……

 

分からないなりに、とりあえず本を選ぶときに外せない項目だけ決めてみた。

 

・家康について、どちらかというと好意的に書いているもの

 →作家さんによってだいぶ差が出るらしい。大好きな推しが演じるんだもの、好きになれる人物像であってほしい。

・なるべくコンパクトにまとまっているもの

 →勉強できる時間が限られているので。有名な「徳川家康」って小説は26巻もあるらしい。内容に惹かれたけれどさすがにこの量を読むのは厳しい。漫画もあるらしいけれど、絵の情報が多いとイメージが固まってしまいそうなので今回は見送る。

・ドラマの世界観に近いもの

 →こればっかりは放送が始まってみないとわからないけれど、あらすじを読む限り、圧倒的カリスマというよりは一人の若者が必死にもがきながら戦国の世を生き抜いていく話になるんじゃないかな。できるだけこの世界観に近い方が楽しめそう。

 

 

こんな条件にドンピシャなものがあるのか?って感じなんですけど

Google先生Twitterすごいよ。見つけました。

 

伊東 潤 先生

「峠越え」/ 講談社文庫

 

もうね、作家さんのお名前からして運命なんじゃないかなって感じしますよね。

単純なオタクなので、それだけで嬉しくなってしまう。

(大河決定からさらに話題になり、ついに重版かかったそうです、おめでとうございます!)

 

そしてあらすじ。

「今川、武田、織田と強大な勢力が重石のようにのしかかる三河。部下にも呆れられる凡庸な武将家康には、越えるべき峠がいくつもあった。家康はなぜ天下人になれたのか?」

 

これじゃん。まさにどうする家康」。

 

早速購入。ネットでは売り切れていて、地元の本屋さんでラスト1冊。運が良い。

 

 

(以下、本の内容に触れます。ネタバレはしないように心がけて書いたつもり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家康、マジ苦労人じゃん。

 

もうこれに尽きる。こんなにピンチに見舞われて、私が家臣だったら何度頭を抱えてることか……

 

でも、圧倒的カリスマっていうより、ちょっと鈍臭くて、大事なところで判断に迷ったり、内心『マジかよ……』って思ってても信長の手前 黙って要求をのむしかなかったりして、それで家臣に呆れられるとことか共感できる。普通の人間って感じがする。

 

家康の周りにいる家臣も魅力的。

キャラが濃くて、勝手にこの人が演じたら面白そうだな~って想像しながら読みました。

それにしても主を守るために先陣きって戦う家臣たちスゴいよ。怖くなかったのかなぁとか、彼らの気持ちも気になった。彼らが主人公の話とかもあったら面白そう。(あるのかもしれないけれど無知で申し訳ない)

 

大河の主演発表のとき、松本潤さんはこんなコメントをしていました。

『家康は、強敵に会うたびに 生き残る方を選び続けてきた人』

この本を読んで、まさにその通りの生き方だと思いました。

自分自身のため、家臣のため、生きることをなによりも優先した人。

 

そういう人だったから戦国の世を終わらせることができたのかもしれないな、と感じました。

 

 

また、この本はミステリにも通ずる手法がたくさん取り入れられていて、これも読みやすかったポイントのひとつかな。

裏切りだったり、作戦だったり、相手の心理を読んで意表をついたり。

読んでて『そうきたか!』って思うところもあったし、とってもドキドキしました。

 

本能寺の変』の新解釈も、私は好きでした。事実はどうなのか分からないけれど、こうだったのかもしれないなって十分考えられる。

歴史ってその時代を生きていた人が今はいないけれど、確実に現代に伝わってきている事柄があるってところが面白い。例えフィクションだとしても、完全にはフィクションとは言い切れない部分もある。事実と想像が入り交じっているところが興味深い。

白黒つけたがるド理系オタクでも、この"曖昧さ"が面白いと思えたところが大きな収穫でした。歴史は知れば知るほど奥が深いのかも。ハマりそう。

 

そして最後に、作品名の『峠越え』の意味。これはぜひこの本を読んで感じ取ってほしいです。

 

 

 

[反省点]

登場人物の関係性が把握しきれていなかった

それぞれの人物の名前は知っていても、彼らが敵なのか、味方なのか、ド理系の私は知らなかったのです。歴史好きな方には常識なんだろうけれど、私はそこから学ぶ必要があった。完全に勉強不足です。

出てくる人物の数もシンプルに多い。正直誰やねんコイツって人もたくさんいたけれど(ごめんなさい)、そんなレベルの知識しかない私でも十分楽しめました。

あと登場人物の呼び方がところどころ変わるからちょっと難しかった(文章中に補足があったのでこちらもなんとかついていけた)。私みたいなやつが歴史小説を読むときは、人物相関図を用意しないとあかんね。

 

 

 

 

 

放送はまだ先だけど、今からワクワクが止まらないです。

まだ時間はあるし、他にもいろんな本を読んで知識を増やしておきたい。

何かおすすめの本があったらぜひ教えていただきたいです。

 

 

 

すごく長文になってしまった……でも自由に文章を書くのは楽しいね。

また書きたいことがあったらじっくり書こうと思います。